人ごみの中を歩くのは久しぶりだった。村崎はまるで自分が気まぐれで地上に降り立った神であるかのように感じた。こいつら有象無象とは別次元の存在なのだ。そういう自負があった。
紫は移ろいゆくものの色 二〇一X年十二月
人ごみの中を歩くのは久しぶりだった。村崎はまるで自分が気まぐれで地上に降り立った神であるかのように感じた。こいつら有象無象とは別次元の存在なのだ。そういう自負があった。
実は村崎は今までの人生で一度も本気の恋愛というものをしたことがない。妻とは見合い結婚だ。それも、いつまでも独身だと人格に問題があると思われ出世できないという噂を聞き、やむなく結婚したという始末。
コンビニのパンを開封した時特有の刺激臭が鼻を突いた。この臭いも随分久しぶりだった。
「他の人と寝てごめんね。私にとっては、どのお客様のことも大切なの」
「お話はさっき来た連中にした。貴様ら公僕は横の連絡も取れてないのか?」
「君は馬鹿か。知る
藍は世界中のジーンズを染めている色 二〇一X年五月
「わたし、指紋を付けずにジッパーを下ろすことができるの」「我能不留指纹地拉开拉链哦」
らいちは口でジッパーを下ろした。